ハワイの空港免税といえば長いことDFS(Duty Free Shoppers)だったんですが、なんと60年以上続いたハワイでの事業がこの4月で終わったそうです。後を継ぐのはニューヨークを本拠とする「International Shoppes(iShoppes)」。聞き慣れない会社ですが、既にニューヨークのJFKやワシントンのダレス、ボルチモア、ヒューストンなど米本土の空港で実績のある免税・空港小売の事業者だそうです。
iShoppes takes over DFS airport retail sites with heavy focus on local brands | Honolulu Star-Advertiser
International Shoppes is rolling out the most locally focused retail program in its airport portfolio, with local vendors accounting for about 60% of its merchandise now offered at Honolulu and Kahului airports — the highest share at any airport it operates.
事実関係はこんな感じです。
- DFSの60年超にわたるハワイ空港事業が終了し、2026年4月1日からiShoppesが運営を引き継いだ。
- 対象はダニエル・K・イノウエ国際空港(HNL)とカフルイ空港(マウイ)。営業権の契約は10年。
- 祝福式典は4月20日(月)にHNL、21日(火)にカフルイ空港で実施。
- iShoppesによると、開店の時点で取扱商品の約60%がローカル製品。美容品と酒類を除けばその比率は80%近くまで上がる。
- 看板ブランドはAloha CollectionやHonolulu Cookie Companyなど。地元の起業家支援団体Mana Upは、4月21日にカフルイ空港で約25社のローカル企業の商品を集めた店を開き、ホノルル空港にも数週間のうちに開く予定とのこと。
- 開店時の従業員173名のほとんどがDFS出身者。地元の経験値はそのまま継承する形。
要するに、海外ブランドは残したまま、売り場の比重をぐっとハワイのものに寄せた、という話ですね。
DFSとの距離感、正直に書いておきます
まず前提として、私たちは空港免税店でほとんど買い物をしません。
理由は身も蓋もなくて、長年ハワイに通っていると「空港で買わなきゃいけないもの」がほぼ無いんですよね。化粧品やブランド物に興味があるわけでもないし、お酒だって部屋飲み前提でロングスドラッグスやワイキキマーケットで買ってしまえばいい。土産物にしても、わざわざ空港の高い棚で選ぶより、ワイキキ滞在中にABCストアでちょこちょこ調達するほうが落ち着いて選べます。
だから、ハワイでDFSといえば「カラカウア通りの大きい箱(T ギャラリア。こちらは2026年1月28日に閉店しています)」のイメージが強くて、HNLのDFS店舗にはそもそも足を踏み入れる機会がほぼ無かった。搭乗ゲートに向かう途中で「ああ、ここにもDFSあるんだな」と横目に見るくらいです。
それでも、60年以上続いたブランドが静かに退場するというニュースには、ちょっと寂しさを感じます。ハワイの空港=DFSの紙袋、みたいな光景は、旅のルーティンの一部ではあったので。
ハワイのものが約6割、これは地味に良い話
で、新しく入ってきたiShoppesの並べ方がなかなか面白くて、開店の時点で取扱商品の約6割がローカル。美容品と酒類を除けば8割近くになる、と共同CEOが話しています。
正直に言うと、これは空港で買い物しない私たちから見ても好感が持てる並べ方です。
というのも、従来の空港免税店の「海外ハイブランドをずらっと並べるモデル」って、ぶっちゃけどの国の空港に降りても似たような光景なんですよね。パリだろうがドバイだろうが成田だろうが、結局同じグッチとシャネルと高級時計が並んでいて、「ここがハワイである意味」がほぼ無い。
iShoppesも海外ブランドを置かなくなるわけではありませんが、そこにAloha CollectionやHonolulu Cookie Companyのような「ハワイで育ったブランド」や小さな作り手の商品を厚めに並べる、というのは、空港という最後の滞在地点に「ハワイに来てた実感」をちゃんと残す設計になっています。
旅の摩擦をなくしたい立場からすると、これは「最後の買い足し」が空港で完結できるという実利にもつながります。ワイキキ滞在中にHonolulu Cookie Companyで買い忘れた分を、空港のiShoppesで「まあ、ここで済ませるか」と拾えるなら、わざわざアラモアナに戻るタイパの悪さが消える。
地元雇用173人、ほぼDFS経験者ってところも実務的
もう一つ地味に注目したのが、開店時の従業員173人のほとんどがDFS出身者という点です。
事業者が変わるタイミングで「とりあえず経費削減で人を入れ替えました」となると、現場の接客レベルが一回ガクッと落ちるのが普通なんですが、iShoppesはそこを地元経験値ごと引き継ぐ方針を取った。
これ、旅行者側から見ると「今まで通りの感じで使える」という安心感に直結します。運営の会社は変わっても、売り場にいるのはDFSで働いていた人が中心、というのは、混雑する空港で無駄なトラブルに巻き込まれない上で大事なポイントなんですよね。
ハワイの「空港での最終体験」がちょっとアップデートされる
結論としては、空港でほぼ買い物しない私たちから見ても、この転換はハワイの空港体験を少しだけ良い方向にアップデートしてくれそうだと感じています。
- 海外ブランドに加えて、ハワイらしいものを厚めに並べる店へ
- ローカル小規模ブランドが空港という一等地に並ぶ
- 現場スタッフはそのまま、運営ノウハウも継承
次にHNLから日本に帰るとき、搭乗ゲートに向かう途中で、DFSの頃は素通りしていた売り場を、ちょっと覗いてみるかもしれないな、とは思いました。珍しいことです。
とはいえ、基本線は変わりません。必要なものはワイキキ滞在中にロングスドラッグスなりワイキキマーケットなりで落ち着いて買う。空港はあくまで「飛行機に乗る場所」であって、買い物の場所じゃない。そのスタンスを崩してまで見に行くほどではない、というのが等身大の本音です。
ただ、ハワイという場所が空港の小売りレベルで「どこにでもあるブランド」だけでなく「ハワイのもの」に比重を移すのは、旅先としてのハワイの輪郭がちょっと濃くなる話ではあります。そこは素直に、良い方向だなと眺めていきたいと思います。











